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いちょうのは
いちょうの葉
小川 未明
「台湾日日新報」1935(昭和10)年10月10日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,722 字 · 4 页
「じゃ、帰りに、いっしょにいって探そうね。」と、二人は、お約束をしました。
こんなように、小学校時分の二人は、楽しかったのです。そのうち幸ちゃんは、学校を卒業しました。それから、まもなく、奉公に都会へ出てしまいました。学校へゆくにも、帰るにも、一人となった清ちゃんは、さびしかったのです。そのうち夏も過ぎて、また木の葉の色づく秋がきました。
「いつか、幸ちゃんが、かぜをひいて休んだとき、僕、学校の帰りに、いちょうの葉を拾っていったことがあったがなあ。」と、清ちゃんは、思い出したのであります。あのときは、たった一日、一人でいってさえ悲しかったのにいまは、いつまたあうことができるかわからないのだと思いました。ある日清ちゃんは、学校からの帰りにお寺の前を通ると、いちょうの葉がたくさん落ちていました。そして、寺は、昔そのままにひっそりとして人の姿も見えなければ、ただ、林の中で、小鳥が鳴いていました。清ちゃんは、門を入って大きないちょうの木の下で、落ち葉を拾って、お家へ帰ると、それを入れて、幸ちゃんのところへ、手紙を出しました。
「幸ちゃん、ご健康で働いていますか、村のお寺のいちょうの木の葉が、はや、こんなに色づきました。