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うずめられたかがみ
うずめられた鏡
小川 未明
「女学生の友」1953(昭和28)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,962 字 · 12 页
ある日、海の色が、とりわけ、きれいにさえて見えたのです。山は、なにか海が、自分にあいずをするのだと思いました。だから、自分もわらって答えました。そして、その日から、二人はいくらか、知り合いになったという感じがしました。
なにごとによらず、こうありたいと、熱心に仕事をすれば、いつか、かならず成功するものです。人間が遠くから、たがいに話ができるようになったのも、電気を発明したからで、やはり自然の大きな力を、知ったからであります。
谷からわき上がる雲が、自由にうごけるところから、山は雲を使いにたてることを、考えつきました。そして、あるときは、山から海へ、また、あるときは、海から山へと、雲は往来したのでした。
海の上では、波があって、波はなぎさへおしよせて、岩にくだけ、しぶきは玉のごとくとびちり、遠い水平線は、縹渺として、けむるようにかすみ、白い鳥が、砂浜で群れをなしてあそんでいるのを、雲は山へかえると、おもしろく話しました。
また山では、おいしげる木々に、あらしがおそうと、はげしく枝と枝をもみあい、そして、頂上から落下する滝が、さながら雷のとどろくように、あたりへこだまするものすごい光景を、雲は海へいって聞かせることもありました。