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おさくのはなし
おさくの話
小川 未明
「教育研究」1929(昭和4)年10月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页
しかし、べつに、ガラスの破片が飛んでいる気はしなかったので、そうでないとわかったから、そのままあちらへゆこうとしたのです。
「おい、もう一度、してみせようか?」
二人の坊ちゃんは、そういって、彼女を呼びとめました。おさくは、なんの音だろうと思ったので、いわるるまま、そこに立ち止まって、二人の坊ちゃんがたのすることを見ていました。
「こんどは、僕の番だよ。どちらの音が、大きいか、やりっこをしようね。」
そういって、弟のほうは、ポケットから、三日月形に折りたたんだ、紙製の風船球を取り出して、空気をいれるべく、吹きました。見るうちに、風船球は、ふくれあがって、小さな掌の上にころがりました。
「おさく、見ておいで、いいかい。」といって、右の掌に、力いっぱいいれて、ふいに、風船球をたたきつぶすと、さすがに、すきまなく張られているだけに、紙の球は、ひどい音とともに、さんざんに裂けて、掌の上に残ったのであります。
「どうだい、僕のほうが、大きい音がしたろう。」と、小さな坊ちゃんは、誇らしげにいいました。
「よし、そんなら、こんど、おれがする番だよ。」
上の坊ちゃんは、自分も、新しい風船球を取り出しました。