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おさくのはなし

おさくの話

小川 未明

「教育研究」1929(昭和4)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页

青空文庫

これを見て、おさくは、二度、びっくりしたのであります。

「坊ちゃまがたは、こんな遊びをするばかりに、新しい風船球をいくつも買っていらしたのだろうか?」

こう彼女は、思うと、だまって見ていられない気がしました。

「坊ちゃま、およしあそばせ。」と、彼女は、いった。

「なぜだい、僕たちのかってじゃないか。」

「兄さん、お母さんといっしょにいって、僕たちが買ってもらったんだね。」

二人の坊ちゃんは、彼女の干渉を気持ちよく思いませんでした。

「だって、もったいないのですもの……。」と、おさくはいった。

二人の少年は、これまで、女中などに、こんな注意がましいことをいわれた、経験をもっていませんでした。

「兄さん、僕たちが、なにしたって、いらんお世話だねえ。おまえ、もう、ここにおらなくていいから、あっちへゆけよ。」と、小さい坊ちゃんがいいました。

「こんなものをついて遊べんから、大きな音を出そうと思っていたのだよ。こんなものを破ったって、なにがもったいない?」と、大きな坊ちゃんは、いいわけがましく答えました。

おさくは、りくつをいわれると、もう、これに答えることができなくなって、目に涙がにじみました。