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おじいさんのいえ

おじいさんの家

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,150 字 · 11 页

青空文庫

二

なにしろ、夜になるとよくほえますので、近所から憎まれていますもんですから。」と、姉さんは答えました。

ボンの後足には、かなり大きな傷がついていました。

「ボンは助かりましょうか。」と、正雄は心配しながら獣医に聞きました。

「さあ手を尽くしてみますが、そのへんのことはわかりかねます。」と、不安な顔つきをして獣医は答えました。

そのうちにボンは、しだいに気力が衰えてゆきました。正雄や、姉さんがその名を呼びましたけれど、しまいには、まったくその声がボンには聞こえないようになりました。そうして、薬をのましたり、手当をしたりしたかいもなく、とうとうボンは目を閉じたまま死んでしまいました。

正雄は悲しみました。姉さんも目をしめらして悲しみました。そうして、ボンをまた車に乗せて家へ帰りました。ボンが死んだということを聞かれて、お母んも悲しまれました。

二

みんなは相談をして、ボンをていねいにお寺の墓地へ葬りました。そうして、坊さんに頼んでお経を読んでやりました。その当座、正雄はボンがいなくなったのでさびしくてなりませんでした。朝起きても、学校から帰ってきても、飛びついて自分を迎えてくれるものがなくなり、またいっしょに散歩をするものがなくなったと思うと、いままでのように楽しみがなかったのであります。