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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
「新潮 第五十巻七号」新潮社、1953(昭和28)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 页
むかしからよく小糠三合なんて云うじゃないか。だいぶ値段を安く踏まれているぜ。」
「ばかを云っちゃいけねえ。むかしから養子に行った人には大人物がいるんだ。修身の教科書に名前の載っているような人には養子が多い。大石内蔵之助だって、伊能忠敬だって、みんな養子だ。つまり誰しも養子をするからには、大人物を養子にして、家運の隆盛をはかるんだ。生半可な人間は養子にしてもらえねえ。くさすのは養子になれなかった奴のひがみだ。」
「ばかに養子のことを弁護するじゃないか。まさかおじさんは養子じゃないだろうな。」
「おれは養子になれなかったくちだよ。」
「だけどおじさん、家運の隆盛はいいが、養家先が豆腐屋だったりしたら、ひでえことになるぜ。豆腐屋の早起きは新聞屋どこじゃないからな。それに冬だからって懐手をしているわけにはいかねえ。越後の高田町でも、豆腐屋だけは両掌を出しているというじゃないか。おれは生れつき皮膚が弱いから、冬場は水の中に掌を入れると、罅がきれて困るんだ。」
「どうもきみは大人物にはなれないな。」
「ところでおじさん、調査員にはどう云ってくれたね。」
「心配しなくともいいよ。