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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
「新潮 第五十巻七号」新潮社、1953(昭和28)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 页
葉書には元気なように書いてありましたが。おじさんはお役に立ちますか。」
「ええ。よく働いてくれますわ。父も喜んでおりますわ。それに父は碁が好きなもんですから、おじさんが来てからいい相手が出来たって、それは喜んでおりますのよ。」
「それはよかったなあ。」
「それにおじさんはいい人ですわ。妹もよく懐いていますのよ。」
「さっき琴を彈いていられたのはあなたですか。」
「ええ。」
「あの曲は古いものですか。」
「いいえ。曲は古いものではありません。室町小唄に私の琴の先生が節づけしたものです。」
「いいですね。」
「ええ。私も好きなもんですから。」
そこへおじさんが女の子を連れて帰ってきた。色白な澄んだ目をした可愛い子だった。姉さんによく似ていた。
その日おじさんからきいた話によると、この寺の家族は住職と娘二人だけで、母親は去年亡くなり、十九になる姉娘が主婦の代りを勤めているということであった。「養子になる気はないかね。」とおじさんは冗談を云った。私はまだ住職の顔は知らない。
(「新潮」昭和二八年七月号)