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かたいおおきなて

かたい大きな手

小川 未明

「銀河」1948(昭和23)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页

青空文庫

「勇ぼうや、帰ろう。おまえは、あとでおかあさんといっしょにおいで。」

こういって、おじいさんは、いまきた道をもどりかけました。勇吉も、しかたなく、その後からしたがいました。

夜になると、家じゅうのものが、火鉢のまわりへよって、たのしく話をしました。

「おじいさんが、こうして、いつも家にいられると、にぎやかで、いいんだがなあ。」と、おとうさんが、しみじみと、いわれました。

「ほんとうに、そうですよ。」と、おかあさんも、いいました。

こう、みんなが、いっても、おじいさんは、そうするとは、いわずに、ただ、笑っていられました。

その話のきれたころ、おじいさんは、思いだしたように、さっき湯屋の前に、ものすごい人たちが立っていた話をなさると、みんなが、笑いだしました。

「そうでしょうな、はじめて、ごらんになっては。」と、おとうさんは、うなずきました。

「おじいさん、このごろは、風儀がわるくなりまして、着物や、げたや、せっけんまで、とられるので、だれも、いいふうなどして、お湯へいくものは、ございません。」と、おかあさんは、わけを話しました。

「その話を、勇ぼうからも聞いたが、なにしろ、おどろいた。