轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

そのとし

その年

宮本 百合子

「宮本百合子選集 第五巻」安芸書房、1948(昭和23)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,964 字 · 28 页

青空文庫

「今時、人のないときは、ちいとのことはこっちで辛棒して働いて行かにゃ仕様がない」

そろそろ肥料が出廻る季節で、組合とは別に今井の店でそんなものがまとめて扱って行けているのは、不便な山奥の部落の連中が、肥料をそこまで運び上げるトラックの運賃は店もちというサービスにひかれてのことであった。こまかく気を配って、その帰りには米なり、炭なり、必ず何かつむようにしてガソリンを無駄にしなかった。骨折りの多い面倒な稼ぎを、お茂登の才覚と息子たちの体とでこの七八年の間に今井の一家は破産の状態からやっと幾分建て直って来ているところなのであった。

「おっ母さん、心配せんでいい。入営までの半年は俺がうんと働いておくから」

「そうとも! そうして貰わんことにゃどうにもならない」

在郷軍人会と国防婦人会が先に立って村の鎮守の社で出征家族の慰安会が行われ、お茂登も店を前の家のおかみさんに頼んで出席し写真にうつった。

背広に折鞄をかかえた髭の男が頭も下げず店へ入って来て、帳つけしているお茂登の傍へずいと寄り、底気味わるい眼付で、

「出征家族はどこでもこれに入るんで……」

と、さながら役所からでも来たように訳のわからない新聞社の名を刷った寄附募集の紙をつきつけるような日もあった。