轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そのきどをとおって
その木戸を通って
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1959(昭和34)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,448 字 · 44 页
二人の男は沈黙した。夕闇のほの明りではあるが、正四郎の顔ぐらいは判別がつく。六三という男がまず、握っていた娘の手を放しながら「旦那だ」と呟いた。
「おい源次、いけねえ」と六三が慌てた声で、手を振りながら云った、「堰端の平松さまだ、こりゃあとんでもねえまちげえだぜ」
「おめえ知ってるのか」
「うちのごひいきの旦那だ」六三はまた手を振り、正四郎に向っておじぎをした、「まことにどうも申し訳ありません、おみなりが変っているんで気がつきませんでした、わかればあんなきざなことは申上げなかったんで、へえ、やい源次、てめえも早くあやまらねえか」
「いや、わかればいいんだ」と正四郎は頷いた、「街道筋で名を知られたあにいたちにあやまらせる事は罪だからな」
「ひらに、どうかひらに」六三は頭へ手をやりながらおじぎをした、「このとおりですからどうか勘弁してやっておくんなさい」
「しかし、どうして」と源次がまだ不審そうに云った、「どうしてこの、旦那のお伴れは旦那を知らねえと云ったんですかね」
「それはおれにもわからない」と正四郎が云った、「この娘にはちょっとこみいった仔細があって、一と口で話すことはできないが、おれがかどわかしでないことだけは証明できると思う」