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それから
それから
代助醒来时,脑海里悬着一块木板,随脚步声消失。他总在半夜按着胸口数心跳,思考这跳动的生命到底意味着什么。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 页
それから、机に向って、三千代へ手紙を書いた。文句は極めて短かいものであった。ただ至急御目に掛って、御話ししたい事があるから来てくれろと云うだけであった。
代助は手を打って、門野を呼んだ。門野は鼻を鳴らして現れた。手紙を受取りながら、
「大変好い香ですな」と云った。代助は、
「車を持って行って、乗せて来るんだよ」と念を押した。門野は雨の中を乗りつけの帳場まで出て行った。
代助は、百合の花を眺めながら、部屋を掩う強い香の中に、残りなく自己を放擲した。彼はこの嗅覚の刺激のうちに、三千代の過去を分明に認めた。その過去には離すべからざる、わが昔の影が烟の如く這い纏わっていた。彼はしばらくして、
「今日始めて自然の昔に帰るんだ」と胸の中で云った。こう云い得た時、彼は年頃にない安慰を総身に覚えた。何故もっと早く帰る事が出来なかったのかと思った。始から何故自然に抵抗したのかと思った。彼は雨の中に、百合の中に、再現の昔のなかに、純一無雑に平和な生命を見出した。その生命の裏にも表にも、慾得はなかった、利害はなかった、自己を圧迫する道徳はなかった。雲の様な自由と、水の如き自然とがあった。