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それから

それから

夏目 漱石

代助醒来时,脑海里悬着一块木板,随脚步声消失。他总在半夜按着胸口数心跳,思考这跳动的生命到底意味着什么。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 页

青空文庫

八

――けれども代助はただ苦笑して嫂の前に坐っていた。

八

代助が嫂に失敗して帰った夜は、大分更けていた。彼は辛うじて青山の通りで、最後の電車を捕まえた位である。それにも拘わらず彼の話している間には、父も兄も帰って来なかった。尤もその間に梅子は電話口へ二返呼ばれた。然し、嫂の様子に別段変った所もないので、代助は此方から進んで何にも聞かなかった。

その夜は雨催の空が、地面と同じ様な色に見えた。停留所の赤い柱の傍に、たった一人立って電車を待ち合わしていると、遠い向うから小さい火の玉があらわれて、それが一直線に暗い中を上下に揺れつつ代助の方に近いて来るのが非常に淋しく感ぜられた。乗り込んで見ると、誰も居なかった。黒い着物を着た車掌と運転手の間に挟まれて、一種の音に埋まって動いて行くと、動いている車の外は真暗である。代助は一人明るい中に腰を掛けて、どこまでも電車に乗って、終に下りる機会が来ないまで引っ張り廻される様な気がした。

神楽坂へかかると、寂りとした路が左右の二階家に挟まれて、細長く前を塞いでいた。中途まで上って来たら、それが急に鳴り出した。代助は風が家の棟に当る事と思って、立ち留まって暗い軒を見上げながら、屋根から空をぐるりと見廻すうちに、忽ち一種の恐怖に襲われた。