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どこでふえふく
どこで笛吹く
小川 未明
「少年倶楽部」1916(大正5)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,812 字 · 12 页
一
一
ある田舎に光治という十二歳になる男の子がありました。光治は毎日村の小学校へいっていました。彼は、いたっておとなしい性質で、自分のほうからほかのものに手出しをしてけんかをしたり、悪口をいったりしたことがありません。けれど、どこの学校のどの級にでも、たいてい二、三人は、いじの悪い乱暴者がいるものです。
光治の級にも、やはり木島とか梅沢とか小山とかいう乱暴のいじ悪者がいて、いつも彼らはいっしょになって、自分らのいうことに従わないものをいじめたり、泣かせたりするのでありました。光治は日ごろから、遊びの時間にも、なるたけこれらの三人と顔を合わせないようにしていました。
学校の運動場には大きなさくらの木があって、きれいに花が咲きました。そして花の盛りには、教師も生徒も、その木の下にきて、遊び時間には遊びましたが、それもわずか四、五日の間で、風が吹いて、雨が降ると、花は洗い去られたように、こずえから散ってしまい、世はいつか夏になりました。そうなると、もはやこの木の下にきて遊ぶものがありません。
光治は、その木の下にきたのでありました。そこは運動場の片すみであって、かなたには青々としていねの葉がしげっている田が見え、その間を馬を引いてゆく百姓の姿なども見えたりするのでした。