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どこでふえふく

どこで笛吹く

小川 未明

「少年倶楽部」1916(大正5)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,812 字 · 12 页

青空文庫

そして、みんなはいくじなしだ。そんなものにかまわんでおくだ。また、いい友だちができる、きっとできる。おまえに笛をやる、この笛を吹いて、一人で遊んでいると、すこしもさびしいことはない。さあ、この笛をやるから、一人でおとなしく遊んで、勉強をして大きくなるんだ。」

といって、じいさんは腰に下げていた、小さな笛を光治にあたえたのであります。

光治は、その笛をもらって手に取ってみますと、竹に真鍮の環がはまっている粗末な笛に思われました。けれど、それをいただいて、なおもこの不思議なじいさんを見上げていますと、

「さあ、私はゆく……またいつか、おまえにあうことがあるだろう。」

といって、光治の頭をじいさんはなでて、やがてその路を歩いていってしまいました。光治は、しばらくそこに立って、じいさんを見送っていますと、その姿は日影の彩るあちらの森の方に消えてしまったのでありました。

その日から光治は野に出て、一人でその笛を吹くことをけいこしたのであります。その笛はじつに不思議な笛で、いろいろないい音色が出ました。彼はじきにその笛を上手に、また自由に吹き得るようになりました。