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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
女6 本当に面白い思いつきでございますわ。
御行 でしょう?……いや、これは私が、この年に一度の葵祭の吉日を選んで、皆さんを喜ばせて上げようと思って、一月も前から考えていたことなのですよ。それを、あなた、どなたか知らんが、まあ大変な誤解をなさったもんですよ。まるで、この物狂いの娘が、人もあろうにこの私の所にお輿入りをするかのように云いふらしたのですからね。いや、もう、お蔭でこの大納言、とんだ迷惑をしましたよ。しかも私にはれっきとした奥の方がいるんですよ? まあ、噂をなさるのも時には愛嬌があっていいものですが、いくらなんでも、そんな、あなた、根も葉もない噂を都中にふれ廻されたら、どんなお人好しの大納言だって、そりゃ、あなた、怒りますよ。
文麻呂 (悪夢から我に返ったように)……嘘だ! そんなことはみんな嘘だ!
女10 あらッ! この人何か言ったわ!
男2 大納言様! いくらか正気づいて来たようでございますよ。
男女達、再びがやがやと私語をしながら、文麻呂の様子を好奇的に眺めはじめる。
御行 おや、文麻呂殿。……少しは気分がよくなって来ましたかな?……さあ、それでは、この機会を見計らって、なよたけ姫の「聟取り」