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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
実は棄て子だったのでござります。……
御行 なに? 棄て子?
造麻呂 へえ。……実は、この裏の竹林の中に棄てられて、おぎゃあ、おぎゃあと泣いておりましたのを、手前、亡くなった婆さんと一緒に拾って参ったのが、あれまでに大きくなったのでござります。生憎、手前どもには子供がひとりも恵まれませんでしたので、大喜びで養女に致し、雨が降ってはなよたけ、風が吹いてはなよたけ、やれなよたけ、これなよたけと、もう心配ばかりして育てとりましたが、……いけましねえ、大納言様。物心がつきだすと、あれの気持は儂等からどんどん離れて行ってしまいました。……これまで手前共の方からはあれの素性については、ただの一度だって、一切気にも出したことがござりましねえのに、……「お父さん、あたしはあなたの子供ではないのね」などといつの間にやら感づいてしまいましてな。全く親の仕事の手伝いも致しませぬし、天気さえよけりゃ、一日中、この辺の子供達と一緒になって竹山の中を駆けずり廻っておりますようなわけで。……やれ「わたしはお天道様の子だ」と云ってみたり、やれ「あたしはお月様の子だ」と云ってみたりして、この親を困らせますのでござります。