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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

……どうぞ、これまでの失礼の数々は、平に御容赦下されませ。……御容赦下されませ。

御行 いや、何もそんなにかしこまらなくったっていいんですよ、お爺さん。……大納言だからって、何もとって食べるわけじゃあるまいし、……ただ、私のなよたけに対する誠意がお爺さんにも通じてくれれば、こんな嬉しいことはありません。

造麻呂 なよたけはしあわせものでございます。さような思いをかけて下さいますだけでもなよたけにとりましては、身に余る光栄でございます。大納言様と聞いて、なよたけもどんなに喜びますることでございましょう。………

御行 お爺さん! なよたけを私に下さりますか?

造麻呂 (信じられぬかのように)……なよたけを?……あんなふつつかな田舎娘を本当にもらって下さるとおっしゃるのですか?

御行 どうして、またそう私の云うことを信じないのです?

造麻呂 (やや躊躇しつつ)……大納言様……なよたけがどんなに賤しい娘でも、きっと可愛がってやって下されますか?

御行 お爺さん、私を信じて下さい!

造麻呂 (思いきって)……実を申し上げますれば、……大納言様。……なよたけめは手前の子供ではござりませぬ。