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ねずみのぼうけん
ねずみの冒険
小川 未明
「小学四年生 17巻12号」1940(昭和15)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,912 字 · 4 页
だが、あまり急なために調子が狂って、片側の店頭へ突っ込んで、ガラス戸を破壊したのです。
主人も、小僧さんも、ねずみどころの騒ぎでありません。そのほうに気を取られている間に、ねずみは、どこへか逃げてしまったのでした。
助からぬ命と思ったねずみは、また天井裏のすみかに帰ることができました。しかし、ねずみは、これによって、人間というものは、自分たちのとうてい考えつかぬ不思議なことをするものだと思いました。とにかくここに長くいてはいけないと感じたのです。ちょうど、この屋根から、裏の空き地を横切って、あちらの倉庫の屋根へ、電燈線がつづいているのを発見しました。
「そうだ、この電線を渡っていけば、あちらの家へ、移ることができるのだ。」
ものぐさの主人を、てこずらせるほどの、元気なねずみですから、電線を渡っていこうと、冒険を決心しました。
人間が気のつかない昼ごろのことでした。ねずみは、一本の電線を渡りはじめました。落ちそうになると尾をくるりと針金に巻きつけて、体を支えました。
鳥や、獣物のすることは、人間のごとく、そうしくじりがないものです。しかし、だれもいないと思ったのがそうでなかった。