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はてしなきせかい

はてしなき世界

小川 未明

「童話」1923(大正12)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,675 字 · 10 页

青空文庫

私は、坊ちゃんに、私の持っているような目と、私の胸に宿っているような魂を分けてあげますように、神さまにお願いしましょう。そうすれば、坊ちゃんは、いつも私たちと同じように、ほかの人間にはわからないような、不思議なきれいな光を見たり、また、かすかな遠い音を聞くことができます。」といって、鳥はこの子供の頭の上でないて、また、遠い旅をつづけてゆきました。

それから、子供はひとり、空や鳥の影ばかりでなく、花や、石や、木や、なにに対してもじっと見入って、深くものを思うようになったのであります。

けれど、この子供が、黙って、じっとものに見入っているのを見て、心の中に、どんなことを考えているか? やはり、だれもそのことを知るものはなかったでありましょう。

世の中の大人は、てんでに頭の中で、金もうけのことや、暮らし向きのことなどを考えて、さっさと道の上を歩いています。そして、だれも地の中にうずもれた、かすかな光があっても、それに注意を向けるものはありませんでした。

「ガラスびんのかけらだろう。」

みんな、そんなように思っていたのでありました。

そのとき、この子供は、遠くから、この紫色の光を見つけて、わざわざそのところまでやってきました。