轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひとでなし
ひとでなし
山本 周五郎
「講談倶楽部」1958(昭和33)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,484 字 · 38 页
ぶんだぜ、なにを待ってるんだ」
「すみに云っておきたいことがあるんだ」
痩せた男はしゃがんだまま、首だけねじ向けて伴れを見あげた、「どうせいっしょに旅へ出るんだ、云いたいことを云う暇はたっぷりあるぜ」
「いっしょに旅ができればな」
「おちつけよ」と痩せた男が云った、「なにをそう気に病むんだ、手順はちゃんとできてる、万事うまくはこんでるんだぜ」
「木は伐ってみなくちゃあわからねえさ」
「なにがわからねえんだ」
大きいほうの男はちょっと黙って、それから不安そうに云った、「見つきは大黒柱になりそうな木でも、伐ってみると芯はがらん洞になっている、そんなことがよくあるんだ」
痩せた男はまた喉で笑った。彼のほっそりした顔はやさしくなり、小さな、赤い唇のあいだから、きれいな歯が見えた。
「おい、よせ」と大きいほうの男が唇を動かさずに云った、「おめえのその笑いかたにはがまんができねえ、その笑いかただけはよせ」
痩せた男は黙った。彼の顔は無表情になって、急に疲れたような色を帯びた。そうして、握っていた小石を川のほうへ投げ、ゆっくりと立ちあがった。