轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めおとよろい

めおと鎧

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年1月号

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 12,130 字 · 24 页

青空文庫

六

六

「おおっ、そこへゆくのは香田孫兵衛ではないか」乱軍の中だった。松平忠吉の陣をぬけて、合戦のまっただ中へ斬りこんだ孫兵衛が、しゃにむに前へ前へと突進していたとき、ふいに脇からそう呼びかけられた。ふりかえってみると、本多の陣へたずねた平林大膳である。「平林どのか」「どうした……怪我をしたそうではないか」そう叫びながら、大膳がはせつけて来た。「怪我? おれがか?」「井伊どのの先陣について浅野の別働隊が斬りこんだという、めざましいはたらきぶりで、香田孫兵衛が重傷を負ったといま聞いたばかりだ」孫兵衛は、あっけにとられた。自分のほかに、香田孫兵衛がいるというわけはない。なにか間違いではあるまいか。「しかし、それはたしかなのか」「たしかだとも、あ、みろ」と、大膳は手をあげて右手をさした。「あそこへひきあげて来る人数がそれだ。あの差物は二つ矢羽根、たしかに貴公の差物ではないか」

まさにそうだった。黒の四半に白く二つ矢羽根をぬきだした差物、まさしく自分の差物にちがいない。「のちに会うぞ」そう叫んで、孫兵衛はいっさんにそっちへはせつけた。およそ十五六人の兵が、負傷者を載せた盾をまもってやって来る。