轻松读懂日语经典作品
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めおとよろい
めおと鎧
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年1月号
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 12,130 字 · 24 页
二
権六が声をかけ、犬が歯を噛みならしたとき、「ぶれい者」と叫びながら、孫兵衛が抜打に一刀さっと浴びせた。それは身をひこうとする飛竜の首を、半ばまで斬り放した。犬は奇妙なこえでひとつ咆ると、横ざまにとんでいって草地へ倒れ、地面へつけた首を中心にくるくると二度ばかり廻って動かなくなった。
「香田さま、こ、こなた様は」権六は、まっ蒼になってつめ寄った。「こなた様は、なにをなさいます、こ、このお犬は、このお犬は治部さまへ」
「なんだ、おまえおれに文句を云うのか」
二
「わたくしの役目としてこんな」
「だまれ」孫兵衛は刀にぬぐいをかけながら云った。「おまえはなんだ、人間か犬か、人間ならもうすこし腰をまっすぐにしろ、りっぱな男子が犬の供をしてあるくさえ恥ずべきなのに、お犬とはなにごとだお犬とは。足軽だって身分こそ軽いが、武士にはちがいあるまい。犬のお守がうまくてもさむらいのほまれにはならんぞ」権六は、ぎゅっと唇を噛んだ。孫兵衛は刀をおさめ、「飛竜はおれがぶれい討ちにした、いいぶんがあったらいつでも来い、待っていると云うがいい、わかったか」そう云ってそこをあゆみ去った。
屋敷へもどっておのれの長屋へはいると、かれは妻の屋代をよんで始末を語った。