轻松读懂日语经典作品
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めおとよろい
めおと鎧
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年1月号
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 12,130 字 · 24 页
といった風な態度だった。孫兵衛はむらむらと腹がたってきた。それで会釈をしながら近寄って来る権六に、「おい、ちょっとその綱をはなしてみろ」と云った。主人の義弟にあたるのでよく知っている相手だし、まさか斬られようとは考えなかったので、権六は綱をはなした。犬はそのままあるいてきたが、動物の本能で危険に対しては敏感だから、めのまえにぬっと立っている孫兵衛をみると、あゆみをとめてじろっと見あげた、「なんだおまえは」そう云うこえが孫兵衛には聞えるように思えた。それでぐっとねめつけながら、「きさまはなんだ」とどなった。犬はううと低く呻った。孫兵衛はなんだと云いながら一歩でた。犬はまたううと呻り、上唇をあげて牙を見せた。
「なんだ、そのつらはなんだというんだ」
孫兵衛は、また一歩まえに出た。犬はがあと喉をならし、ぜんぶの歯をむきだした。
「ああ香田さま、危のうございます」
と権六がこえをかけたとき、犬はそれにけしかけられたようにごうと歯を噛みならした。おどしである。こういう犬は決して吠えない。いきなり噛みつきもしない。ちょっと、自分の威力がどんなものか見せつけるのである。