轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もののかげ

ものの影

豊島 与志雄

「心」1952(昭和27)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,794 字 · 18 页

青空文庫

木炭の空俵や、藁束や、新聞紙などを、夥しく積み上げて、それに火をつけ、その火種をあちこちに投げ散らして、葦を焼いてるのだ。葦はまだ霜枯れておらず、容易に燃えないのを、田中さんは懸命に燃やそうとしている。

集まってきた人々は驚いて、田中さんを制止しようとしたが、なかなか言うことをきかなかった。衆人を全く無視した態度で、そして凄い形相で、黙々として火を燃やし続けてるのである。

その朝、彦一は珍らしく早く眼を覚した。彼の職業は保険会社の外交員で、時には小さな劇場の演出を手伝い、また稀に詩を書いていた。詩作は一文にもならず、芝居の方からは僅少な不時の収入があり、生活は主として外交員の仕事で立てていたが、彼にとっての重要さは、全くその逆だった。保険会社の外交員ほど下らない職業はないと思って、その職業を選んだのである。随って、仕事に勤勉でも忠実でもなかった。朝は遅くまで寝ていた。

ところがその朝、なにか気にかかる心地がしたし、室外の空気にざわめきが感ぜられたので、寝床の中に落着けず、起き上ってみた。そして田中さんの一件を知った。

彼は服装をととのえるとすぐ、一本松のところへ駆けつけた。