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わがつまのき
わが妻の記
伊丹 万作
「りべらる」1946(昭和21)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,719 字 · 8 页
といつて崇拝しているのである。
その他で一番おもしろがつたのは『シートン動物記』で、これは六冊息もつがずに読んでしまつた。
映画。映画はあまり好きではない。たまに亭主の作品でも出ると見に行くこともあるが、行かないこともある。その他はほとんど見ないようだ。いつか原節子が見舞いに寄つたとき、玄関に出て「どなたですか」ときいたくらいだから、その映画遠いこと推して知るべしである。
行儀
行儀、ことにお作法はむちやである。ねている亭主のところに来て、立つたまま話をする。枕の覆いを洗濯するとき、黙つていきなり私の頭の下から枕を引き抜く。私の頭は不意に三寸ばかり落下する。朝掃除に部屋へはいつて来ると、まずそこらの畳の上にほうきをバタンと投げ出して、いきなりパタパタとはたきをかけ始める。これで娘時代相当にお茶をやつたというのだから、あきれる。そして、彼女の言葉はまたそのお作法に負けないくらいにものすごい。彼女の語彙の中には敬語というものがいたつて乏しい。しかし、来客に対しては何とかごまかして行くが、私と差し向かいになつたら全然もういけない。
私は何とかしてこれを直そうと思い、数年間執念に戦つてみたが、遂に何の効もなく、これも結局こちらが根負けしてしまつた。