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アド・バルーン

アド・バルーン

織田 作之助

「新文学」1946(昭和21)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,390 字 · 53 页

青空文庫

な話、迷子を探すというわけには行きません。とうとう探しくたびれてしまったところ、ちょうどそのころ今里保育園の仕事に関係していた弘済会の保育部長の田所さんがこの話を聴いて、――というのは、谷口さんも当時今里保育園の仕事に関係していて田所さんと親しかったので、――これは警察に探してもらう方がよかろうと、府の警察部へ話してくれました。すると、それを聴きつけたのが、府庁詰の朝日新聞の記者で、さっそくそれを新聞記事にして「秋山さんいずこ。命の恩人を探す人生紙芝居」という変な見出しで書きたてましたので、私はこれは困ったことになったわいと恥しい思いをしていました。ところが、その記事が私を秋山さんに会わせてくれたのです。

四年目の対面でした。などと言うと、まるで新聞記事みたいだが、その時の対面のことを同じ朝日の記者が書きました。私は照れくさい思いがしたが、しかし、やはり私のような凡人は新聞に書かれると少しは嬉しいのか、その記事の文句をいまだにおぼえています。

「既報“人生紙芝居”の相手役秋山八郎君の居所が奇しくも本紙記事が機縁となって判明した。四年前――昭和六年八月十日の夜、中之島公園の川岸に佇んで死を決していた長藤十吉君(当時二十八)を救って更生への道を教えたまま飄然として姿を消していた秋山八郎君は、その後転々として流転