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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

「これは直ぐ運転休止にしなければいけない。中島君を呼び給え」

「はあ」

と松本さんは今更説明する勇気がない。私も黙っていた。

「君、君行って来給え」

と社長は更に河野に命じた。

「はあ」

と答えて、河野はエレベーターへ入るが早く、スル/\ッと下りて行ってしまった。

「危いことをする奴だ」

と社長は尚お突っ立ったまゝだった。

「実は社長」

と松本さんが首を垂れた。

「何だい?」

「申訳ございません」

「何が?」

「社長」

と私も進み寄った。事茲に至っては仕方がない。二人は恐る/\告白した。

「馬鹿な奴等だ」

と社長は大喝一声、食堂へ入ってしまった。

私達は昨日に引き更えて、社長から最も遠い末席を選んで坐った。

「君」

と松本さんが囁いた。

「困ったことになったね」

と私は会社の賄弁当を見詰めた。

「矢っ張りいけなかった」

「大丈夫だろうか?」

「これってこともあるまいが、あんなに憤ったのは初めてだよ」

「念が入り過ぎた」

「平あやまりにあやまる外はない」

と松本さんも悉皆悄げてしまった。

社長は食事中談笑常に異ならなかった。

「案外御機嫌のようだぜ」

「笑っている」

「相手は誰だい?」

「赤石さんだ」