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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

益※(二の字点、1-2-22)こだわる虞がある。

「お待ち申上げますとございました」

と女中が取次いだ時、私達はホッと安心の溜息をついた。

社長の新邸へは赤石さんの自動車で乗りつけた。西洋間へ通されて待っている間に三味線の音が聞えた。

「おや、今日は金曜日だったよ」

と赤石さんが中島さんに囁いた。

「然うでしたな」

「美事担がれた」

「成程」

と中島さんが小膝を拍った。

「何うしたんですか?」

と私が訊いた。

「何あに、何あに」

と中島さんは誤魔化した。

「何だって?」

と松本さんが私の方へ耳を寄せた。

そこへ社長が入って来て、

「やあ」

と反り返った。社長のお辞儀は下らないで上るという評判だ。それは宜いが、

「これは何処の人達だね?」

と然も不思議そうに私達を見返ったのには驚いた。

「お詫につれて上りました」

と赤石さんが言ったのを合図のように、私達は、

「今日は飛んだ御無礼を申上げまして、何とも申訳ございません」

と頭を下げた。行く先々で器量の悪い話だけれど仕方がない。

「御同難の俺がもうコン/\言い聞かせて来たんですから、今日のところは水に流してやって下さい」

と赤石さんが口を添えてくれた。