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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
「君もやるんですか?」
「えゝ。大会へ出ようと思って、去年から始めたんです」
「この間のですね?」
「えゝ。毎年社長の屋敷でやるんです。鬼島さんが二等賞を取りました。時価百円からする骨董品を頂戴しましたよ」
「一等賞は誰でした?」
「そこが面白いんです。『一等賞は何うせ我輩に定っている。我輩のものを我輩が貰っても仕方がないから』って、初めから欠員にしています」
「成程」
「皆態と負けをしますから、何うしたって社長が一等になります」
「それが分らないんでしょうか?」
「神さまですよ。あれ丈け部下を信じていてくれると思うと、僕達は犬馬の労を厭いません。矢っ張り将に将たる人ですよ」
と畑君も社長に敬服していた。
ところでガラマサどんのことよりも自分のことだ。宣伝部へ廻って俸給の上ったのを力に、一安心すると間もなく、甚だ好ましからぬ形勢になって来た。或日庶務課長の中島さんが、
「熊野君、一寸」
と呼んだのである。
「話したいことがあるから、応接室へ来てくれ給え」
「はあ」
と答えて連れ立った時、私はもう落胆した。以前この手でやられている。
「熊野君、君は小説を書くってね?」
と中島さんは果して変なことを訊いた。