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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

相変らず生きた材料を提供する」

「額は確かに広いね」

「しかし頭が禿げているんだから、あの顔は何処までが額で何処からが頭かハッキリ分らないんだ」

「ハッハヽヽ。額に三本毛が残っているところを見ると、あの辺は昔頭だったのかも知れない」

「僕も然う直言したんだよ」

「憤ったろう?」

「いや、笑っていたよ。君は始終側にいながら研究が足りないって」

「ふうむ」

「これは生えたんだって、老来元気横溢の証明だって」

「豪い人だけれど、自分のことゝなると全くムチャクチャだね」

「しかし然う信じているんだよ」

「あゝいう額が偉人なら、小使の小西なんか立派な偉人だ」

「偉人は額が広いというのは大抵年寄だからだと思う。僕はガラマサどんのお蔭で一つ発明した」

「額の広いのが偉人なら、門番の羽田なんかは何うしたものだろう? 彼奴の額は脳天を突破して襟元まで行っている」

「ハッハヽヽ」

「社長よりも余っ程偉人だろう。チェッ! 対等の議論ならそんなことは言わして置かないんだけれど」

と松本君がソロ/\持病を起した頃、電鈴が鳴った、玄関のボーイが社長の到着を知らせてくれるのである。私達は手のものを置いて出迎える。