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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
ナポレオンも軍人として立ったからナポレオンでしたが、若し文学をやっていたらシェキスピヤでしたろう」
「成程」
「政治家になればクロムウェルです。宗教家になればルーテルです」
「太田原宗郷も戦国時代に生れていれば一国一城の主になっている」
「確かに然うでございます」
「ハッハヽヽ」
「英雄は天才で素質的に凡衆と違っていますから、風采も尋常でありません。高顴広額はよって来る所以があります」
「一寸面白い観察だね」
「広く英雄伝を読み漁って聊か得るところがございました」
「しかし熊野君、それは世の中に通用しない大掴みの書生論だよ」
「はゝあ」
「英雄を天才と定めてしまったんじゃ学問も修養もあったものじゃない」
「いや。天才は頭が好いですから、一を聞いて十を知ります。頭の悪い凡衆よりも余計に学問や修養が足しになります」
「松本君、君は何う思う?」
と社長は突如松本君に訊いた。
「恐れ入りました」
「何うしたんだい?」
「何うせ私は頭が悪いんです」
「悪いとも何とも言っていやしない」
「いや。熊野君が頭の悪い凡衆と仰有ると直ぐでした」
「何が?」
「君は何う思うかって。頭の悪い君は何う思うかと仰有らないばかりでした」