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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 页
それが馬鹿力を出して金を殺し、その直後に正気に立ちかえって逃走した』というような意味のことを云ったが、あれに対して僕は男らしく頭を下げるよ」
「というと……」
「あの丘田医師の大変な力のことを云っているのだ。気が変になったればこそ、あのような力が出る」
「すると金青年に重い砲丸を擲げつけて重傷を負わせたのは、丘田医師だったのかい」
「もうすこしすれば、誰が犯人か、自然に解る筈だよ」
真犯人のことを知ったのは、それから三日のちのことだった。ゴールデン・バットのチェリー――それが真犯人だった。
これは一部の人に大変奇異な思いをいだかせた。何故ならば、どうしてチェリーのように脆弱い女性が、あの重い砲丸を金青年の肩の上に擲げつけることが出来たろうかという疑問が第一。それから彼女に真逆金を殺すだけの十分な動機が見つかりそうもないという疑問がその第二だった。
しかしそれは、彼女達の告白によって、すべてが明かになった。私は今、彼女達という複数の言葉を使ったが、あのゴールデン・バットの女たちは、あの晩の騒ぎをキッカケとして、去っていったのだった。彼女たちは、洋酒を盆の上に載せる代りに、みんなが白いベッドの上に載せられていた。