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ソヴェトのしばい
ソヴェトの芝居
宮本 百合子
「改造」1931(昭和6)年3、4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,289 字 · 53 页
本物ではね。エイゼンシュテインが、直ぐ坊主の装をして、俺が落っこちてやるって、簡単にころがりおちちまったんだとさ。
――無料で、ころがりおちまでした例だ。
――ハハハハ、さっぱりしているな。ところで芝居の話へ戻るんだが、職業組合に入っている勤労者は半額で見られる。お前みたいな外国人はどうするんだ?
――芝居の窓口へ行くのさ。そして、その日の、または前売切符を買う。一九二八年頃、おもだった売場にある案内所が切符一枚について十五カペイキか二十カペイキの手数料をとって切符のとりつぎ販売をしていたことがある。この頃それはない。
――割引なしか?
――なしだ。だから、行った当座は高いのに閉口して、舞台から遠いところを買った。観えはするが科白がわからない。降参して、しまいには段々近くまで進出した。
――電話かけて切符を届けさせることは、出来ないのか?
それはしない。こんなことがあった。劇場は市じゅうとびとびだからね、いちいちそこをまわって買うのは骨なんだ。時間がえらくかかる。その上前売切符を売る時間が、まちまちだ。そうかと云って、其日では、手に入らない。誰かから、国立第一オペラ舞踊劇場の後に、まとめて各劇場の前売切符を売ってるところがあるってことをきいた。