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ソヴェトのしばい

ソヴェトの芝居

宮本 百合子

「改造」1931(昭和6)年3、4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,289 字 · 53 页

青空文庫

――ふーむ。この一冊の帳面は全体が観劇日記みたいなものなんだね。

――ソヴェトでは、歴史の進展が実に速いからね。もう四五年してごらん、芝居だって、きっと随分変るだろうと思うんだ。面白いだろう? ソヴェトを愛する一人の外国の素人が一九二八年から三〇年頃の劇場を、どんな風に見ていたか。――

第一国立オペラ舞踊劇場

バレー「蹴球選手」

グルジューモフ作

中国革命と中国の美しい娘。帝国主義と軍国主義とを主題にした「赤いけし」がソヴェトの新しいバレーとして紹介されてから数年たつ。

ソヴェト市民は新来の外国人を見ると、先ずいつも訊くだろう。

――赤いけしを観ましたか?

しかし、それを観てしまうと、もうほんとに新しいソヴェトのバレーは種ぎれだった、昔ながらの「眠り姫」を見物しなければならない。――ソヴェトは、もう革命から十三年目ではないか。それだのに、バレーの状態は国立オペラ舞踊劇場の保守性を示してるのか。或はよい舞踊劇の作者がソヴェトにはまだ生れないということなのか。

所謂ロシア舞踊は世界的名声を博していた。ソヴェトの全生活は急テンポに社会主義社会に向って前進しているのに、バレーがその動きをまるっきり反映しないというのは妙だ。