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ドミノのおつげ
ドミノのお告げ
久坂 葉子
「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页
売る物のリストです。出足を止められて少し不気嫌な私は、父の机のそばにむっつり坐りました。十五六ばかりの品物が記されました。硯石や香盒。白磁の壺、掛軸や色紙。セーブルのコーヒセット。るり色の派手なもので私の嫁入道具にすると云って一組だけ今までうらずにいたのでした。それから銀器が五六点。
「雪子、これ土蔵から出しておいてくれ。それから東さんを呼んで来てね。だいたい値をかいておいたけれど、よくもう一度相談してみてくれ。銀は東さんでない方がいいだろう。貴金属屋の方が……」
「では今日中に」
私は渋々立ち上り、袋戸棚から重い鉄の鍵を出して土蔵を開けました。ぎいっと大きな戸をあけると、かびくさいつめたい臭いがします。もう大方がらんどうになっていて、うすぐらい電燈の上に、ほこりが一ぱいつもっておりました。品物を父の寝ている部屋の縁側へ並べて傷がないかしらべたりしました。母や叔母は、それ等の品を悲壮な面持で眺めております。
「仕方ないわね。編物の内職でなんとか春彦と二人食べて来てるけど。だんだん注文もなくなって来たし、株だってさがる一方だし、売る物もないわ。ひすいやダイヤもすっからかん。