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ホオムズのたんていほう

ホオムズの探偵法

平林 初之輔

「新青年 第七巻第三号新春増刊号・探偵小説傑作集」1926(大正15)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,080 字 · 7 页

青空文庫

を抜け出して、アルダーショット付近の田舎へ行くところがある。そこでワトソンが、「何とすばらしい絶景じゃないか?」というと、ホームズは重々しく頭を振って、「君はこのばらばらに散在している家屋を見て美しいと感じるが、僕は、これを見ると、家が一軒々々孤立しているから、人に知られず、罰せられずに罪を犯すことができるという感じしか浮かばんよワトソン君」という。するとワトソンは「冗談じゃない。こんな愛すべき昔ながらの古村と犯罪とを結びつけて考える奴があるもんか?」と一笑に付する。するとホームズは「僕はこういう村を見るといつも何となくおそろしくなるね。ワトソン君、僕は自分の経験によりて信じているがねえ、ロンドンのどんな最下等の路地よりも、こういう美しい片田舎に戦慄すべき犯罪の記録があるもんだよ」という。

自然の美景に接した時にでも、彼はその美には打たれないで、まず理知をはたらかせるのである。ぼつぼつ散点している家を見ると、絵のかけない人間にでもちょっと絵心がおこるものであるが、ホームズは、家屋が孤立しているということ、孤立した家屋は犯罪に適するということを考えるのである。