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ホオムズのたんていほう
ホオムズの探偵法
平林 初之輔
「新青年 第七巻第三号新春増刊号・探偵小説傑作集」1926(大正15)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,080 字 · 7 页
四 ホームズのマンネリズム
江戸川乱歩氏の「黒手組」に足跡のない人間を説明する場合にこういう方法が用いられている。
その他、ホームズの探偵法の特色を列挙すれば、幾らでもあげることができるであろうが、要するに、それは、「科学的」「理性的」であって、「直覚的」「空想的」でないといえる。しかし同じく科学的といっても、ソーンダイク博士が顕微鏡と試験管とをなくしたら、その活動力の大部分を奪われてしまうであろうに反して、ホームズは頭が狂わぬかぎりは活動力をそがれることはなかろうと思われる。また粘土なしには煉瓦をつくらぬけれども、粘土さえ揃えば電光石火的の早業で煉瓦をこしらえるところは一見「直覚的」とも見られる。けれどもこの「直覚」は「推理」が異常に早く行われたものに外ならぬであろう。
四 ホームズのマンネリズム
だがホームズの探偵法もあまりしばしば見ていると、その型が鼻についてくる。『緋色の研究』のはじめの部分の推理方法などは、彼がその後常套的に用いるもので、後になると、そのマンネリズムが少々うるさくなってくる。いつか本誌〔『新青年』〕に訳載された誰かの作品に、ホームズのこのマンネリズムをカリカチュアライズ〔風刺〕したものがあった。