轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

梅崎春生『ボロ家の春秋』。同一底本的分册已合并为一书。收入:ボロ家の春秋、Sの背中、黄色い日日、記憶、蜆、庭の眺め、凡人凡語。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 页

青空文庫

黄色い日日

垣根の破れたところから、大きな茶のぶち犬が彼の庭に這入ってきた。お隣の発田の飼犬である。なにか考えこんでいる風に首を垂れ、彼が大切にしている牡丹のところへふらふらとあるいてきたが、その根の辺をくんくん嗅ぎながら二三度廻り、また何となく縁側の方に近づいてきた。どこかで転んだと見え、脇腹に濡れた枯葉を二三枚貼りつけている。縁の前にはバケツをさかさに伏せ、その上に彼の古靴が乾してある。そこで立ち止ると、急に考え深そうな表情になって、丹念に古靴のあちこちを嗅いでいたが、束ねた紐をいきなりくわえて、靴の片方ずつを顔の両側にぶらりと垂らした。そのままでちらりと彼の方を見たようである。硝子戸の内側に座布団を何枚もならべ、その上に寝そべって、彼はそれを眺めていた。

(どうも変だ)頬杖をついたまま、彼はそう考えた。

ぶち犬は靴をくわえたまま、彼の方から眼をそらすと、重そうに頸をふり、今来た道をふらふらと垣根の方に戻って行った。硝子戸の外の犬のいる風景は、ありありと眼に見えていて、またどことなく黄色い光を帯びていた。最後にぶち犬の尻尾が垣根の破れ口にちらりとひらめいて、靴もろとも外に消えた。