轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

梅崎春生『ボロ家の春秋』。同一底本的分册已合并为一书。收入:ボロ家の春秋、Sの背中、黄色い日日、記憶、蜆、庭の眺め、凡人凡語。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 页

青空文庫

外套が身体に与える感触じゃない。もっと根元的なものだ。それは、俺の心の姿勢だ。これは俺の外套だ。しかし俺のじゃない。昨夜ある男から剥いだのだ。――こいつだ。これが胸の底にかくれていて、それがこんな感じを引き起していたことに、俺は今はっきり気がついた。俺はある荒んだ勇気が猛然と湧き上ってくるのを感じながら、次のように呟いたことを想い出す。

――俺は贓品を身につけているのだぞ。

俺にはその時この外套が鎧のように厚ぼったく頼もしく感ぜられたのだ。俺は毒々しい喜びを感じながら真直ぐ切符売場へ進んで行ったのだ。

切符を買って乗込んだ電車は満員だった。荷物と人間が重なり合って、あの鋼鉄車が外から見るとふくらんで見えた位だ。俺は次第次第に反対側の扉の方に押されていた。ところがふと見るとその扉口には扉がないのだ。あけっぱなしなんだ。そこに矢張り闇屋らしい若い女がいて、ついにたまりかねたか、そんなに押しちゃ落ちるわ、と悲鳴をあげた。

そんな時にはどこの世界にも義侠心の過剰な人物が出るもので、この時も一人の頑丈な四十位のおっさんが出て来たんだ。なりは闇屋だが誠に善人らしい顔付だった。