轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

梅崎春生『ボロ家の春秋』。同一底本的分册已合并为一书。收入:ボロ家の春秋、Sの背中、黄色い日日、記憶、蜆、庭の眺め、凡人凡語。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,411 字 · 263 页

青空文庫

庭の眺め

庭というほどのものではない。方六七間ばかりの空地である。以前ぐるりを囲っていた竹垣は、今は折れたり朽ちたりして、ほとんど原形を失っている。おのずから生じた羊歯や灌木や雑草の類が、自然の境界線をなしているものの、あちこちが隙間だらけなので、鶏でも猫でも犬でも自由に通れる。事実それらの小動物は、毎日顧慮することなく、私の庭を通過する。その隙間は、人間でも楽に通れるほどだから、時には人間も通る。一度などは、馬が通過したこともあった。

坂下に止っていた汲取屋の馬車馬が、どうしたはずみか轅から脱けて、そのままトコトコと坂をのぼり、百日紅の枝の下をくぐって、いきなり私の庭に入ってきた。茶色の外套を着た大男が入ってくる。そう思っていたら、それがその栗毛の馬であった。別段ためらうことなく、珍しそうにあたりを見廻しながら、ゆっくりと庭を横切ってゆく。私はその時縁側に腰かけて、それを眺めていたのだが、どういう関係からか、馬の頭や胴体や四肢などが、つまり馬の体躯全体が、ことのほか巨大に見えた。まるで庭中が馬になったような感じがした。風景のプロポーションが、急に狂ったせいだろうとも思う。