轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
マダムさだやっこ
マダム貞奴
長谷川 時雨
「婦人画報」1920(大正9)年2~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,999 字 · 53 页
わたしがまだ稽古本のはいったつばくろぐちを抱えて、大門通を住吉町まで歩いて通っていたころ、芳町には抱え車のある芸妓があるといってみんなが驚いているのを聞いた。わたしの家でも抱え車は父の裁判所行きの定用のほかは乗らなかったので、何でも偉い事は父親が定木であった心には、なるほど偉い芸妓だと思った。一人は丁字屋の小照といい、一人は浜田屋の奴だと聞いていた。小照は後に伊井蓉峰の細君となったお貞さんで、奴は川上のお貞さんであった。浜田屋には強いおっかさんがいるのだという事もきいたが、わたしが気をつけて見るようになってからは、これもよい縹緻だった小奴という人の御神灯がさがっていて奴の名はなかった。そのうちにおなじ住吉町の、人形町通りに近い方へ、写真屋のような入口へ、黒塗の看板がかかって、それには金文字で川上音二郎としるされてあった。そして其処が奴のいるうちだと知った。またその後、大森の、汽車の線路から見えるところへ小さな洋館が立って、白堊造りが四辺とは異っているので目にたった。それも川上の新らしい住居である事を知った。それは鳥越の中村座で川上の旗上げから洋行までの間のことである。