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ミス・マシュウのしんしょくぎょう
ミス・マシュウの新職業
岡本 かの子
「三田文学」1932(昭和7)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,921 字 · 6 页
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彼女とてもいわゆるボーイ・フレンドは持っている。
紺の服の襞に純粋な藍の色の陰が出来るのを陽に当てて独りでほくそ笑んでいる倫敦児のジャック、緑の粗羅紗のエプロンを昔風に片意地に纏っている軽焼煎餅屋のペッツ、手製の板ボールの帽子を冠って梯子の上から赤い色刷毛で挨拶するペンキ職人のバックル――。
女店員の習慣として活動、自動車のピクニック。ダンス及びその前後の食事。こういう享楽生活の費用は大概ボーイ・フレンドに持って貰って兎に角若き日を若き日らしく維持している。だが、ミス・マシュウが他の女に較べての例外はパーティのどの一人に対してでも公園の五月の花の蔭での抜け駆けの密会をしたことは無い。
理由はきわめて簡単なのだ。彼女は生理的にそういう青春を要求しない。彼女は思う。男と女とが半日も太陽の乾燥の下に若い肉体の切口を晒し合う。恐ろしいことだ。僅かのいのちが蒸発してしまうだろう。
彼女のそういう体質気質が、無意識に男に反映して男の方からも誰も強いて彼女を誘おうとはしない。彼女は上品なのだ。彼の父親の専門の古典楽のように上品なのだ。という一致に衆評をまとめてしまって、この「チョコレート箱の模様の王女」