轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

モスクワのつじばしゃ

モスクワの辻馬車

宮本 百合子

「読売新聞」1931(昭和6)年1月1日、4日、6~9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,305 字 · 17 页

青空文庫

そんなにのろくさ歩くのは不自然でおまけに退屈だ。馬はひょいと普足になる。すると御者はあわてて手綱を引きしめ、のろのろのろのろ歩かせる。

むこうから来てすれ違う一人一人の通行人の顔が大写しになってかぶさって来るように感じる位ののろさなのだ。――御者奴!

それは、御者も商売からまるで間違った推測をしたのではなかった。この外国女は、第一ひどく急いでいるんだ、芝居へ行こうとしているんだと。サドー※(濁点付き片仮名「ワ」、1-7-82)ヤにはメイエルホリド座がある。写実劇場がある。オペレット劇場がある。実際日本女は写実劇場でもう坐っているべき時刻なのだ。だが、御者はそろそろ自分の予想に自信を失いかけている。日本女は、芝居におくれないために、余分な一ルーブルは出そうとしなかった。その上(本当に?)警察へ行く気でいる。――では、芝居へ行くだろうと思ったのは間違いだったか?

御者は黙って、ひたすら馬をのろく御すことに努めている。自分の根気と小さい外国女の根気とを計っている。彼はもう罵るだけ罵ったのだ、と云うのは、サドー※(濁点付き片仮名「ワ」、1-7-82)ヤの交叉点からこの通りを真直来たのではない。