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リズムのこうぞう
リズムの構造
中井 正一
「美・批評」1932(昭和7)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,957 字 · 16 页
このリズム論のもつ危険性は、相対性理論があらわるるにいたって露わにされたとも考えられよう。すでに時間そのものが、ものの動きより生じ、グリニッジ天文台の時計はその一つの便宜的説明にしかすぎなくなった時、リズムの根底をなしている音楽的メトロノームは何を意味することとなるか。時計的俗衆的時間になぜに音楽がその支配権を藉さなければならないか。
ここにこの考えかたへの難点があると考えられる。待てば千年といったような、時間の内面を構成する距離の人間学的構造にまず視点が向けらるべきであったのである。かかる数学的リズムの解釈によっては、それは一つの運命的寂寥すらが、リズムの内面に規定されて、数多いリズムそのものの構造の展望にとっては一面的不自由性をすらあたえることとなる。それはいわば単に過去の反復をのみ意味し、機械的であり、蓋然的であるにすぎない。
外国歌謡を習った子どもに、日本の三味線のリズムを教えることがはなはだしく困難であると一般にいわれている事実は、あるいはここに起因するのではないかと思われる。ルネッサンス的主知主義が人の情趣的領域に数学的解釈を侵入せしめたことのもたらす誤謬が、ひいては音楽そのものの冰れる数学化をもたらしたといえるであろう。