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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
落語に厭きて女義太夫をも聞く。寄席の帰りに腹が減って蕎麦屋に這入ると、妓夫が夜鷹を大勢連れて来ていて、僕等はその百鬼夜行の姿をランプの下に見て、覚えず戦慄したこともある。しかし「仲までお安く」という車なぞにはとうとう乗らずにしまった。
多分生息子で英語学校を出たものは、児島と僕と位なものだろう。文学部に這入ってからも、三角同盟の制裁は依然としていて、児島と僕とは旧阿蒙であった。
この歳は別に書く程の事もなくて暮れた。
*
十七になった。
この歳にお父様が、世話をする人があって、小菅の監獄署の役人になられた。某省の属官をしておられたが、頭が支えて進級が出来ない。監獄の役人の方は、官宅のようなものが出来ていて、それに住めば、向島の家から家賃があがる。月給も少し好い。そこで意を決して小菅へ越されたのである。僕は土曜日に小菅へ行って、日曜日の晩に下宿に帰ることになった。
僕は依然として三角同盟の制裁の下に立っているのである。休日の前日が来て、小菅の内へ帰る度に通新町を通る。吉原の方へ曲る角の南側は石の玉垣のある小さい社で、北側は古道具屋である。