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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
或は自知の明のあるお多福が、僕を見て、あれで我慢をするというようなことは無いにも限るまい。しかし我慢をしてくれるには及ばない。そんな事はこっちから辞退したい。そんなら僕の霊の側はどうだ。余り結構な霊を持ち合わせているとも思わないが、これまで色々な人に触れて見たところが、僕の霊がそう気恥かしくて、包み隠してばかりいなければならないようにも思わない。霊の試験を受ける事になれば、僕だって必ず落第するとも思わない。さて結婚の風俗を見るに、容貌の見合はあるが、霊の見合は無い。その容貌の見合でさえ、媒をするものの云うのを聞けば、いつでも先方では見合を要せないと云っているということだ。女は好嫌を言わない。只こっちが見て好嫌を言えば好いというのだ。娘の親は売手で、こっちが買手ででもあるようだ。娘はまるで物品扱を受けている。羅馬法にでも書いたら、奴隷と同じように、res としてしまわねばならない。僕は綺麗なおもちゃを買いに行く気はない。
ざっとこう云うような事を、なるたけお母様に分るように説明して見た。お母様は、僕が霊では落第しないが、容貌では落第しそうだと云うのが、大不服である。