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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页

青空文庫

それに、彼女は今非常に前非を悔いている。人を殺したといっても過失に過ぎないのだし、田村君、この辺の事情をよく含んで置いてくれるだろうね」

「分った分った。なるべく君の希望に添うことにしよう。兎も角早く犯人の在家を教えてくれ給え」

「なに、三千子さんはここの家にいるのだよ」

明智が合図をすると、住居の方の障子が開いて、そこから明智の部下と小間使姿の三千子と、そして、意外なことには運転手の蕗屋までが一緒に立現れた。三千子はいたましく泣きぬれて、目を上げる力もなかった。

「蕗屋君も最初からこの家にいたのです」人々の不審顔を見て取って明智が説明した。「これもやっぱり山野氏が養源寺の和尚を過信した結果なんですが、死体運搬をした蕗屋君は、やっぱり連類に相違ないので、和尚が勧めるままに、かくまい方を託したのです。一寸法師にすれば何か又悪だくみでもあったのでしょう。この家の裏手の納舎を急ごしらえの隠れ家にして、三度の食事もそこへ運ばせることにしていました。そして、蕗屋はそこで、三千子の小松が家出して来るのを待ったのです。殺されたのは三千子だったということがハッキリ分れば、それで三千子の化けた小松の用事は済むのですから。