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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
罪業転嫁
罪業転嫁
その夜人形師安川国松の家に、不思議な会合が催された。広い仕事場の板敷に、あり合せの腰かけが並べられ、そこに田村検事、刑事部長を始め警察の人々が腰をかけ、その間にうちしおれた小林紋三や、キョトキョトと落ちつかぬ安川人形師の姿も混っていた。山野夫人は心身過労の為に半病人になって邸に残っていたし、大怪我をした一寸法師は、近所の病院に担ぎ込まれて、生死の境にあったので、この会合には加わっていない。
仕事場の一方には出来上った様々の人形が不思議な群像をなし、その傍に未完成の頭、腕、足などが、まるで人食鬼の住家の様にゴロゴロと転がっていた。そして、人形共と見さかいのつかぬ明智の支那服姿がその前に立って、何かしきりに説明していた。彼の傍には、小さな台があり、台の上にはいつか彼が紋三に見せた証拠の品々が並んでいるのだ。
彼はいよいよ本当の犯人を引渡すからというので、友達の間柄の田村検事や、刑事部長などを、そこへ呼び集めたのであった。丁度畸形児捕物から引続いてのことだったし、外にも重大な理由があって、人形師の仕事場が説明の場所に選ばれた。明智にしては、これが当日のもっとも重要なプログラムなのだ。