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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
明智は一段声を低くしていった。「彼女にとって、お嬢さんは恋の敵だったのです。それに小間使なればいつだってだれにも疑われないで、お嬢さんのお部屋へ出入出来ますし、お嬢さんのいらっしゃらないことを第一に発見したのもあの女だったのです。そして、それ以来病気だといって一間に、とじこもっているのも変に取れば取れないことはありません」
「イイエ、あれに限ってそんな恐しいことを致すはずはございません」山野夫人はあわてて明智の言葉をさえぎった。「あれは不幸な娘でございます。両親ともなくなってしまって、ひどい伯父の手で、恐しい所へ売られるばかりになっていましたのを、主人が聞込んで救ってやったのでございます。そしてもう四年というもの、娘分同様にして養って来たのでございます。当人もそれをひどく恩に着まして、口癖の様に御主人のためなれば命も惜くないなどと申しまして、それはまめまめしく働いて居てくれるのでございます。それに気質もごく優しい娘ですから、どの様な事情がありましても、三千子をどうかするなんてことがあろうはずはございません」
「そうです。僕も小松がそんな女だとは思いません」