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まんようしゅうか
万葉秀歌
斎藤 茂吉
在线阅读斎藤 茂吉《万葉秀歌(まんようしゅうか)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,820 字 · 427 页
また初句の「熟田津に」の「に」は、「に於て」の意味だが、橘守部は、「に向って」の意味に解したけれどもそれは誤であった。斯く一助詞の解釈の差で一首の意味が全く違ってしまうので、訓詁の学の大切なことはこれを見ても分かる。
なお、この歌は山上憶良の類聚歌林に拠ると、斉明天皇が舒明天皇の皇后であらせられた時一たび天皇と共に伊豫の湯に御いでになられ、それから斉明天皇の九年に二たび伊豫の湯に御いでになられて、往時を追懐遊ばされたとある。そうならば此歌は斉明天皇の御製であろうかと左注で云っている。若しそれが本当で、前に出た宇智野の歌の中皇命が斉明天皇のお若い時(舒明皇后)だとすると、この秀歌を理会するにも便利だとおもうが、此処では題どおりに額田王の歌として鑑賞したのであった。
橘守部は、「熟田津に」を「に向って」と解し、「此歌は備前の大伯より伊与の熟田津へ渡らせ給ふをりによめるにこそ」と云ったが、それは誤であった。併し、「に」に方嚮(到着地)を示す用例は無いかというに、やはり用例はあるので、「粟島に漕ぎ渡らむと思へども明石の門浪いまだ騒げり」(巻七・一二〇七)。